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平成18年度で相続税を支払った相続人は、134,722人(被相続人:45,177人)です。この数字をみて、特定の人のことだと思われるも知れませんが、相続は相続税問題だけではありません。遺産の分け方や事業承継で争いになることが多いためです。
【相続対策の3つのポイント】
●円満な遺産分割・・誰に何を残すかを決めておくことが家族のためにも重要です。
●納税資金の準備・確保・・相続発生後、10ヵ月以内を原則として現金で相続税を払わなければならない。
●節税対策・・相続税には条件を満たせば適用が受けられる各種特例が設けられている。
遺産をすべて現物で分配できたら良いのですが、それぞれ対価が違ったり、均等に分割できないのものなどがあり、遺産分割には下記の3方法があります。
(1)現物分割・・遺産をそのままの状態で各相続人に分ける方法です。
(2)換価分割・・遺産を売って換価し、各相続分に応じて現金を分ける方法です。
(3)代償分割・・現物分割ができない場合に、一部の相続人が現物を取得し、
残りの相続人には代わりに相続分に相当する金銭を支払う方法です。
相続には大きく分けて、遺言による相続と法定相続とがあります。
遺産の分け方を事前に決めておくのが遺言です。遺言の方法は、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言、の3つの方式があります。
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■遺留分:民法により法定相続人に認められた最低限の保証のことです。遺言等で行き過ぎた財産処分を防ぐために設けられています。
遺留分を主張できる者(遺留分権利者といいます)は、直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1が留保されます。その他の場合には、被相続人の財産の2分の1が留保されます。 兄弟姉妹には、遺留分がありません。非嫡出子の遺留分は、嫡出子の2分の1です。
他方、法定相続とは、民法で相続の仕方が決められている相続のことを言います。 法定相続人とは、民法の規定により相続する人のことです。配偶者と法定相続人の違いにより相続分の比率が変わってきます。
例
例えば、夫A、妻B、子C、Dの4人家族で、夫Aが3000万円の財産を残し死亡した場合
⇒妻Bと子C、Dで3000万円を相続します。
■ 妻Bの相続分 ⇒ 3000×2分の1=1500万円
■ 子Cの相続分 ⇒ 3000×2分の1×2分の1=750万円
■ 子Dの相続分 ⇒ 3000×2分の1×2分の1=750万円 となります。
例
夫A、妻B、夫の母Eの家族で、夫Aが3000万円の財産を残して死亡した場合
⇒妻Bと夫の母Eで3000万円を相続します。
■ 妻Bの相続分 ⇒ 3000×3分の2=2000万円
■ 夫の母E ⇒ 3000×3分の1=1000万円 となります。
相続税を現金で用意できていたら、とくに問題はないのですが、わが国の場合、相続財産の約70%は不動産(土地)だと言われています。よって、相続が始まってから10ヵ月以内に土地が売却できれば良いのですが、できない場合は現金が必要となってきます。
現金による一括納税ができない場合は、延納と物納という特例があります。
延納は、一定の利子税がかかるほか、予め延納期間が定められています。
また、返済期間中に納付が困難になることもあります。その場合、延納から物納に変更できますが、その期間は相続税申告期限から10年以内です。
そもそも、延納が無条件で認められるわけではなく、一定の条件を満たし、場合よっては担保が必要となるほか、税務署が延納を却下することもあります。
不動産の値上がりを待ち、とりあえず延納で対応する計画はリスクが大きいと言えます。
物納は、被相続人の死亡時等の路線価などで評価した額で納税する方法です。物納申請書を提出後、税務署が3ヶ月以内に許可か却下の判断をします。すべての相続財産が物納が可能ではなく、財産によっては、不適当財産として物納財産の差し替えを要求されたりするケ-スもあります。また、物納収納のためにかかる測量費等の費用も何の控除にもなりません。
納税の基本は現金ですから、現金以外では換金性の高いものを用意しておかなければなりません。例えば、生命保険の活用や自己株式を会社に買い取らせる方法などです。また、不動産は物納できる不動産かどうかなどの判断を早めにしておくべきです。
相続税の税率は10~50%。大変高額な税金となります。しかも、相続財産に土地・建物の不動産や自社株の占める割合が多い場合には、多額の相続税を支払うにも現金がないと大変なことになります。
相続資産の評価額から控除されるものは下記の通りです。
相続資産の評価額から控除されるものは下記の通りです。
■相続税控除:遺産の評価額から控除されるもの
(1)基礎控除: 5000万円 + (1000万円×法定相続人の数)
(2)配偶者控除:1億6000万円(または法定相続相当額と比較していずれかの大きい金額まで)
(3)未成年者控除:20歳になるまでの年数に6万円を掛けた額
(4)障害者控除:相続人が障害者(認定が必要)である場合は、70歳になるまでの残りの年数に6万円を掛けた額。特別障害者である場合は、121万円を掛けた額が控除されます。
(5)相次相続控除:相続があったあと、10年以内に2回目の相続があった場合、最初に支払った相続税の一部を2回目の相続の相続税額から控除できる
(6)外国税額控除:相続した財産が国外にあって、既にその国で相続税に相当する税額が課税されている場合、二重課税を防ぐため、相続税から控除されます。
(7)生命保険:500万円×法定相続人の数
ただし、被相続人が契約者・被保険者の保険契約であることが生命保険金非課税枠の対象となる条件です。
( 8)死亡退職金:500万円×法定相続人の数
節税対策は、
①相続税の税率を下げる・・・養子縁組制度を利用した法定相続人を増やし、1人当たりの相続額を低くし、税区分を下げる。
②生前贈与の活用
③所有財産の評価額を引き下げる
④返済可能な範囲で借り入れる・・借入金は全額債務控除となる。
⑤生命保険の活用
※②、③、⑤については後述します。
<生前贈与の活用>
(1)子・孫への生前贈与:1年間にもらう金額に対して110万円の基礎控除がある。
(2)配偶者へ居住用不動産の贈与:婚姻20年以上で、2000万円まで非課税
(3)相続時課税清算制度の利用:贈与する人が「65歳以上の親」、贈与を受ける人が「20歳以上の子」に限定されますが、財産の種類や回数に関係なく、2500万円までは贈与税は非課税である。
生前に贈与し、財産が移転ができること及び贈与時点の「評価額」で相続税の課税の対象になるため、価値が上がる見込みのあるものや収益性の高い資産(優良賃貸物件)に利用すると良いとされている。
<所有財産の評価額引き下げ>
特定の小規模宅地等については、200平方メートルまでの部分については、通常の評価額の80%又は50%を減額して評価することができます。もちろん、更地に建物を建てれば、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3になり、節税効果があります。
<生命保険の活用>
相続税法24条:年金受給権評価を活用した節税です。
確定年金に関する年金受給権の評価方法は、年金受取期間が長ければ長いほど、総受取額に乗じる割合が下がり、贈与税の課税価格も下がります。
また、死亡保険金の受取方法を遺族年金方式に設定することにより、相続発生時のみなし相続財産としての評価額を圧縮することが可能になります。
<確定年金の評価>
年金総額の 10年超15年以下 50%
15年超25年以下 40%
25年超35年以下 30%
35年超 20%
相続税、50年ぶり大改正~争族!増税?なる~(2008.10.30)
平成21年度税制改正の一環で、相続税が50年ぶりに大改正される。平成18年度の納付税額は、1兆2234億円(被相続人数45,177人)と、わが国の税収(国税・地方税合わせて)約96兆円の中でもウェイトが低く、大騒ぎにはなっていない。
ただし、「遺産争いは百害あって一利なし」と言われているだけに、少しだけ変わっても大変なことになるかもしれない。。
相続税額は<グラフー1>に見られるように、大きく減少した後、横這いになっている。
また、死亡者数に占める課税件数の割合は、昭和62年7.9%から平成18年では4.18%まで低下している。
これは、「相続税の基礎控除額」が段階的に拡大されたこと及び土地の価格が下落し、相続税額が減少したことが主因だ。
相続税の課税方式は、現在の併用方式(法定相続人分課税方式)から遺産取得課税方式を導入するように検討されています。詳細については明らかにされていませんが、(12月に公表予定) 、基本的には、「総遺産に対する税額の按分方式」から「相続人単位での遺産取得課税方式」に変更になる予定です。
現行の法定相続分課税方式では、相続財産の分割が決まらなくても相続税の総額が計算できたり、課税価格の減額措置(小規模宅地の評価減等=取得しない人にも減税効果)があるなど、遺産分割対策が取り易いという面があります。
一方、他の相続人が申告漏れした場合、他の相続人に追徴税額が発生します。
例えば、現行の課税方式では、「経営承継円滑化法」で導入でされた「自社株にかかる相続税の納税猶予制度」を適用した場合でも、下記の問題点が生じてきます。
(1)後継者(自社株にかかる相続税の納税猶予制度適用者)以外の相続人に対しても大幅な税額軽減(納税猶予)となる。
(2)後継者が事業継続要件を満たさなかった時に、後継者以外の相続人にも追徴税額が発生します。
遺産取得課税方式の導入による影響を推測しますと、下記の通りです。
(1) 「自社株にかかる相続税の納税猶予制度」適用の後継者や小規模宅地の評価減の適用者とそうでない相続人との間で不公平感を生み、遺産分割でもめる可能性が大きくなる。
(2)現行の基礎控除額が見直されると想定され、相続人によっては、現行に比べて増税になることが想定される。
(3)遺産を多く取得した者は超過累進税率の影響で増税になる可能性がある。
最後に、これまで生命保険を活用して、遺留分を侵さないように遺産分割の備え・納税対策をしていた方も再度、見直しに迫られる可能性が出てくるかもしれないほか、「現行税制なら相続税ゼロだった人」が対策がないと納税者になることも想定されます。
今12月に発表予定の「平成21年度税制改正大網」は要注目です。
相続税改正を見送り(2008.12.01)
2008年11月27日に自民党税制調査会(津島雄二会長)は、平成21年度税制改正で検討課題に上がっていた相続税の課税方式の抜本的な見直しについて、平成21年度の実施を見送る方針を固めた。
現行の相続税は、実際の遺産分割にかかわらず、遺産総額を妻や子などの法定相続人で分け合ったと見なして控除し、課税額を計算している。一方、党税調は、遺産の受取額に応じて課税する「遺産取得課税方式」への変更を検討していた。
しかし、この方式に切り替えると、実際の相続人が正確に把握され、取得額が多いほど税率が高くなる累進課税が適用されるため、納税者によっては増税になる可能性があり、とくに、不動産を一括して引き継ぐ相続人の税負担が重くなるとの指摘があった。
ここもとの景気後退で、増税になることの反発が大きく、導入が見送られた格好だ。



